燃焼効率の高い薪ストーブ開発

寒波が近づいて寒さ本番ですね。 私は薪ストーブの姿が完成しても、性能確認の為に実験と検証を何度も繰り返すことが半ば趣味なのです。
格好付けずにホントの事を告白すると、今回出来上がった薪ストーブの性能は偶然の産物なんです。 狙ったのは燃焼効率の向上で、1kgの薪で多くの熱量を取り出すにはどのようなシステムが良いのか考えて試作が完成したのが今年の7月でした。
最初は薪の燃える見た目で改良の効果を確かめようとしていました。 しかし、燃やす薪の種類で燃え方が変化するので見た目なんかじゃ全く分からないから、温度計を買って燃焼温度の変化を測定する様になりました。
すると、パターンを変えて温度を測定して温度変化のデータを記録して行くうちに今まで目が行かなかった技術的なブレークスルーを見つけちゃったのです。
見つけたと思っているのは僕だけで、テンションが上がって全くの勘違いと言う事も大いにあるから興奮する気持ちを静めて、何度も何度も実験と検証を繰り返しました。
文章にするとあっけないですが、薪を1kg投入すると約1時間以上燃焼が続くので実験をする日は鉄工製作する時間も無く、条件の記録とデータの記録に追われます。
燃え方を比較してわかる新機能
今までの薪ストーブ作りは、如何にキレイな燃焼とガラスを曇らせないかを追求していました。
初期の頃の薪ストーブ燃焼動画はこちらです
揺れる炎が美しい! ガラスも曇らずキレイだなーと当時は満足していました。木からでる木質ガスに二時燃焼空気が吹き付けられ、高温を発生させています。
このようなアプローチはその後も継続して、どれだけキレイなオーロラを作り出すのかを考えていました。
シェーカーズデザインストーブは2重煙突で実験しましたが、ダンパーを絞ってのオーロラ炎が発生した時は狙った通りの燃焼だったので嬉しかったと記憶しています。
オーロラ以外のポイントに気付く
最初は大きなロケットストーブの燃焼効率向上を狙って、実験を繰り返していました。実験の度に、必要以上の大きな炎をおこして自己満足に浸っていたのです。
けれども、実験を繰り返すうちに燃焼効率向上の具体的な成果を測定したくなったので、全く同じ装置で燃料も同じ物を同じ重量だけ準備して、違いは改造の有無だけで温度測定をおこないました。
実験は双方4回行い、最高到達温度を記録して行きました。
そこで活躍するのが統計の知識、とは言えエクセルに数値を入れて計算すれば5秒で完了します。
具体的には対応のある2標本のt検定で平均の差を検定しました
帰無仮説H0 最高温度データ変化に改造が効果無し
対立仮説H1 最高温度データ変化に改造が効果有り
これを5%の有意水準で計算した所、両側のp値が0.02だったので帰無仮説が棄却され対立仮説が採択されます。
非常にざっくり言うと、5%有意水準で改造の効果があると採択されると言う事です。
統計的にも自分の改造コンセプトの効果が分かったし、ちょっと満足していました。
けれども、その当時はまだ高温を作り出す副次的な効果に気付く事が無く、ただ単に煙りすら燃やし尽くす高温発生を無邪気に喜んでいたのです。
燃焼の進化形
そのような実験を繰り返すうち、今までと全く異なる燃焼を作り出す事に成功したのです。
その映像がこちらです
一見燃えている様に見えませんし、消えかかっているようにも見えますがこれで十分暖かな燃焼が継続するのです。この状態で30分以上燃焼温度を継続していました。
キレイなオーロラもゴウゴウと燃え上がるドラマチックな燃焼も一切有りませんが、これこそが今まで気付かなかった薪ストーブに最適な燃焼だと今後宣伝して行きたいと思っています。
ゆっくり燃えるので、薪の消費がものすごく少ないです。
この、ゆっくり木の端から確実に燃焼させる技術と言うのは地味ですが、実は凄く難易度の高い技術です。
大きな炎で勢い良く燃やすのは簡単です、小さな炎で長時間燃焼を継続するのは越えなければならないハードルが幾つか存在するのです。そのハードルを越えて、やっとこの微燃焼が可能になるのです。
このメリットや優位性は一回の記事では書ききれないので、今後も少しづつ書いて行きたいと思います