僕の仕事がAIに駆逐されるのか考察してみた

 

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習字や武道などのお稽古や仕事って、お手本があっての練習だと近頃痛感する事が多い。

マニュアル化できる定型的な型を延長する仕事ならばその様なお手本は必要じゃないのかも知れませんが、僕の携わる仕事は非定型の業務が多いので、基本的な技能を身につけた上でのオリジナルなアイデアを継続して求められます。

多くの仕事はAIに代替可能なのか

全ての業務がAIに代替可能な訳では無いですが、社寺の木組みまでプレカットで製作可能な現代に於いて、社寺建築まで機械に取って替わられるのかは非常に興味のある話でした。

そうしたら、都合の良いことに私の工場の横に倉庫を構えている宮大工の親方に疑問を聞く機会が出来たので、彼の意見を聞いてみました。

棟梁は個人的な意見だよ、と前置きを置いた上で自身の経験をふまえた意見を教えて下さいました。結論から先に言えば「見た目は一緒でも出来映えは全く違う物になるんじゃ無いかな。」との事です。

例えば社寺の屋根などは瓦が乗って40トンにもなる重みが掛かった状態で形状完成するようにあらかじめ反りを付けているし、木材のねじれや乾燥具合、樹種によるクセなんかを総合的に勘案して作るから、わしらは反りを作った反発の感触で反りを決めて行くし、感触の入力がどんな結果になるかは経験だけでしか得る事は出来ないと思うよ。

いくら数値制御で木組みを作る事が出来たとしても、何百年か経過した時点で人が作った物と同じ様に作るのは、木の性質や劣化まで最初の作り込みで見切らなきゃダメだから、やっぱり数値と木だけ見るんじゃなくて人間に身に付いている経験が絶対必要だと思うし、経験が入っていない構造物は時間が経つにつれて形を維持する事は難しいと思う。と静かに話してくれました。

 

同じ様なニュアンスは、薬師寺宮大工の西岡常一著「木に学べ」にも書いており、薬師寺の塔を立て替えた時改修した塔が1M程高くなっているが1000年立てば元の高さになると言う様に、要は木の性質を見抜き組んだ後の経年変化まで見きって組んでいかなければしっかりとした物にならないと言うことと理解しました。

 

以上をふまえ今の時点での私の意見は、因果関係がある程度判明していたり、マーケットボリュームが大きくて銭勘定が合う場合はプレカットに代表される機械加工に取って変わる事は可能ですが、プログラムを走らす教師データのサンプルが少ない仕事や人間の経験から生まれる感性が必要な仕事は今のところ代替出来ないのではないだろうか。

私のしごと

私の仕事は、作業要領書に従った定常業務という物が1つも無い非定常が当たり前という少し変わったお仕事です。

何か困りごとがあって、後はお任せします。的な事の連続です。 困りごとが発生したら、多くの人は発生した現象に焦点が集まりがちになるのですが、解決の秘訣は原因を推測する事にあります。

 

例えば、コンベアの上にサバ缶みたいな製品が連続して流れている状況で、ストッパーで流れを止めると品物同士がぶつかって浮き上がってしまう事案があったとします。

この場合多くの人はサバ缶が浮き上がらないようにストッパーの形状を思いつくのですが、そもそも浮き上がる原因はストッパーでは無く、底面の摩擦係数が上がった事が原因だと推測されるので、底面をクリーニングできる機構を追加する事により問題を解決する事が出来ました。

 

また有る時には仕事の合間に、現場作業員の人が、金型を組む治具の修理を依頼してきました。

誰が作ったのか分からない壊れた治具の材料を確認してみると、焼きの入った材料が使われていました。 通常、せん断荷重のかかる部分で焼きの入った線径の細いピンを使うと、硬い代わりに脆いのでスグに折れてしまいます。なのでこの場合は、ハイテンション鋼をチョイスする方がベターかと思い材質を変更しました。

 

また有る時には、クレーンが入らない場所で重量物の組み替えが必要な仕事が有りました。

その様な場合は、安全を最優先にしつつ、重量物をスムーズに脱着出来る様に動線を意識しながら玉掛けを行って行きます。 鉄骨や箱のように重心が判断しやすい形状の物は吊りやすいですが、機械部品の様に形状がいびつな物でも瞬時にセンターを見抜き、何トンもある部品を吊りながら機械装置を正確に組んで行くのは集中力が必要になります。

因みに例に挙げた3つの事例にはそれぞれ専門の業者がいて、問題がある度に業者に電話して会議して、打ち合わせして、工事に来て貰えば同等の効能を得る事が出来るのですが、いかんせん時間が掛かる!

顧客は今この瞬間に困りごとを解決したいのに、時間が掛かっていては本末転倒です。

 

そして、本題。

AIに代表される計算機に代替されるのは、ある程度一般化された業務、例えば手書きの伝票をPCに入力するなどは得意だろうけど、私の業務はそもそも非連続の非定常業務ばかりなので、作業の教師となる膨大なデータ入力のコストをペイするだけのマーケットボリュームは無いと考えます。

 

ライン作業で機械の代わりに働いているのではなく、機械の導入を設計する仕事なので、経験の蓄積がとっても必要だし、私の解釈では単品、特注、短納期、制約だらけの中で最善解を探すパズルゲーム見たいな感じです。

まとめ

今日のブログはあくまでも個人的な意見ですが、数値に表すことが出来ない人間の感性は計算機で代替できるのはまだ先であると考えます。

素材が均質で有り、一般化されていると計算機での代替が容易で、素材が複雑になって変数が多くなるにつれ人間のアドバンテージが高くなるんじゃ無いかな。

 

 

 

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