福井県へ納品
12月は本当に忙しくて、ブログのネタは沢山あるのに更新が全く出来ないのが残念です。
忙しい中、体力が衰えていたのか風邪を引いてしまい数日間寝込んでいました。
風邪を引いていても納品の予定は半年前から準備しているので、今週はなるべく安静にして体力の回復を待ち何とか納品を完了する事が出来たので肩の荷が1つ軽くなったのが嬉しい。
納品2週間前に、本体の天板からの輻射熱が多くて壁が熱くなる恐れがあると言う連絡を頂いたので、速攻で遮熱版の設計を行い部材を発注して塗装を行い、完成したのが納品数日前の滑り込みセーフだったも今となっては良い思い出です。
2泊3日の納品旅行
いつも通り軽トラに荷物を満載して現場へ向かいます。今回はストーブ本体以外に遮熱板1式と下地も持って行ったので荷台が満杯だった。
12月の北陸は突然雪が降る可能性だって十分にあるし、高速でチェーン規制が入ると身動きが取れないからしっかりとスタッドレスタイヤに履き替えての納品です。
朝8時に家を出て、お昼過ぎに現場へ到着しました。
現場に到着すると真っ先に搬入口となる窓を取り外してもらいました。
そして、無塗装の杉板へ傷をつけない様に養生シート、クッション、べニア板の順に敷き詰め工具を置くスペースも含めお部屋の大部分を養生します。
準備が終わると、トラックをバックで寄せてラダーレールの上を滑らせてストーブをお部屋へ搬入します。
今回は比較的簡単に搬入が完了しました。
初日は遮熱板を設置するまでが目標なので、遮熱板の設置前に煙突の保持金具と化粧板、煙突遮熱板を設置してゆきます。
煙突の遮熱板は屋根が熱くならないよう、天井から3cm浮かせて板を設置出来るよう建築途中に下地の場所を測定して板を作りました。
その後、軽天下地を壁に固定して遮熱板を止めてゆきます。
単なる板に見えるかも知れませんが真ん中よりも上半分は2重構造になって、高い遮熱性能を発揮します。
外気導入口を事前に決めているので綺麗に収まりました。
一般的な遮熱板だと下まで鋼板が繋がっているけど、お掃除できるように&本体と同じ韻を踏みたかったので5cmほど隙間を開けています。 この隙間から空気が循環する事も狙っています。
初日の工事を無事に完了した僕たちは、翌日の煙突接続に備え早く床に就きました。
煙突の設置
翌日は煙突の接続です。先ずは本体へ接続して室内を仕上げます。
下げふりで垂直も確認しました。
今回はスライド管の下にしっかりとした保持金具を入れたので頑丈に固定出来ました。
室内側の特徴と言えばこれです。「外気導入」
設計の段階から外気導入を標準化しているので新築住宅でも問題なく運用が可能となります。
この後屋外に準備していた足場にのって煙突を繋いて行ったのですが、日没が迫り急いでいたので完成写真だけとなります。
棟の一番高い場所よりも煙突トップを上げて、揺れ止めに2か所固定して、一番上の揺れ止めはSUS3mmのアングルを使用して強度を確保しています。
今回壁出しなので煙突は国産の高木製を採用しています。
初期費用は掛かるかも知れませんが、壁出しの場合長い目で見てお得だと考えます。
燃焼テスト
現代の気密が高い家にKD01を入れたのは初めてだったので外気導入がしっかりと働いてくれるかちょっと心配でした。
結論から言うと、焚き付け時の冷えた状態で台所の換気扇を強にして、ドアを開けると煙がお部屋側へ逆流しました。ですので、焚き付け時は換気扇を切ってもらう若しくはドアを開けない運用をすれば問題は有りません。
一旦暖まるとドラフトの方が強いので換気扇は待ったく関係なく普通に薪の追加が可能となります。
そして、第一回目の火入れ。 奥様も心配そうに眺めています。
だんだん火が大きくなってきました。
この後オーブンの温度が150度まで昇温する様に、大きな炎でひたすら加熱するのでその間道具を片付けます。
片付いて巡行運転に突入した写真がこちら。
住宅に設置すると、工場で見るのとは全く雰囲気が違いますね。
外気温は1桁なのにお部屋の温度は25度。 吹き抜けの2階は28度も有りました。
ストーブ1台で全館暖房が出来るなら、とっても便利だろうし薪の準備にも気合が入るんじゃないでしょうか。
巡行運転の時、確認のため外気導入のアルミ蛇腹に手を触れてみるとものすごく冷たかったです。
暖かいお部屋の空気を使うこと無く、外気を直接燃焼に使うのって合理的だと再確認です。
おまけに、この冷気を直接燃焼室へ投入するのではなく2重になった本体床面空間を通過させる事により、床面への熱攻撃を低減しながら空気の余熱も行っています。
ホント、この方式を考えてうまい事システムが完結するまでどれだけ失敗したことやら。。。
話が横にそれちゃったけど、ストーブ自体は何の問題も無く性能を発揮してオーナー様にもご満足いただくことが出来ました。
まとめ
設置したオーナー様は薪割チームのメンバーで知り合いなのですが、新築のタイミングにヒミエルを指定してくれて本当に感謝です。
操作説明の後、楽しそうに薪を追加してゆくオーナー様を見て、炎を使う行為は誰でも童心に帰るんじゃ無いかと思いました。
ダンパーを絞って燃焼を遅くすればオーブンの温度計が300度を超え、本体から強力な輻射熱が放出されます。
オーナー様がSNSの投稿に
「安いものでは無かったけど満足しています。」とコメントしてくださいました。
僕が良いと思う物をお客様へお届け出来、それを満足いただけるなんて本当に嬉しい。
自分が製品で表現したい物はクリアーに有るけれど、良し悪しの判断はお客様の物だから今後もお客様の感想に真摯でありたい。
そして、納品間際の遮熱壁設計変更も逃げ出すことなく自分がお届けしたいものに素直に反応できて本当に良かったです。
この様な実績を、焦ることなく粛々と積み重ねて行くことが来年の目標です。
オーナー様との2ショット。
そう言う訳で、風邪気味の中で行った12月1つ目の納品ミッションコンプリートです!