サイクロンチューブ経年劣化の対応
ヒミエルストーブをお客様へお届けするようになってから早くも3年が過ぎ去りました。
そして、お客様の元でガンガン使用して頂いたお陰で新品状態では検出できなかった経年摩耗が分かる様になってきました。
今日は熱による摩耗の進行と、破損状況、そして弊社の対応をお伝え出来ればと思います。
サイクロンチューブの熱摩耗
ヒミエルストーブの特徴として、特許取得済のサイクロンチューブの働きにより高温状態を発生させる機能が備わっています。
しかし、常に700度近い高温状態に暴露されるため熱による摩耗が当初より懸念されていました。
一番最初は鉄を使いサイクロンチューブの原型を作って試運転してみました。
私の求める機能を発揮する事は判明しましたが、しばらく使うと熱でボロボロになってしまったので、熱に強いステンレスの材料を選択してお客様へ納める様になりました。
最初2シーズンくらいは劣化に気付きませんでしたが、3シーズン目に入った頃から金属の錆発生が気になり始めました。
そして有る時気づいたら3本足の1本の溶接が脱落しているのを発見しました。
時を同じくして、最初にお買い上げ頂いたお客様や、川原薪ストーブ本舗様等初期ロットをお使い頂いている方々から1月の間に同様の報告を頂きました。
手元に有る劣化したサイクロンチューブを確認すると、熱による酸化でステンレスと言えども肉厚が薄くなってしまい溶接が外れてしまった様です。
修理対応
劣化したチューブをよく観察してみると、本体の下1/3くらいが摩耗しているけれど上の方はまだ十分に肉厚が残っています。
なので、上下逆さまに使用できる様に新規に足を追加してみました。
これでまた3シーズンは十分使えると思い、自社での検証と初めてお買い上げ頂きましたお客様へ発送しました。
ヒミエルストーブの対応
製品の保証期間が過ぎた故障ですし、消耗品ですので新規部品をお買い上げ下さい。
そんな風に杓子定規のご案内をするのであればこの記事は必要ありません。
過去にお買い上げ頂きましたお客様へ
脚が取れましたら、若しくは摩耗が気になるようでしたらお手数をおかけしますが、弊社へ着払いで発送してください。
なんなら、シーズンオフに予防的措置でも全く構いません。
今回の修理と同様に、脚を追加工して送料は弊社負担で返送いたします。
そして、反対側も同じように摩耗する頃には使用年月も5年は軽く超えていると思いますので、その時には消耗部品として新規パーツをご注文下さい。
名も無き僕の製品をお買い上げ頂きましたお客様の注文のお陰で現在の状態が有りますので、しっかりとした対応でお返し出来ればと思います。
これからのお客様
2021年3月納品バージョンからは対策品をインストールしています。
ですので、劣化しましたら上下入れ替えての使用をよろしくお願い致します。
本体の劣化
交換可能なサイクロンチューブの劣化は良くわかった。じゃ一番大切な本体の劣化はどうなの?
その部分が最も気になるし、私自身も不安で事実確認せずには落ち着きませんでした。
ではどのように確認するか… 工場に有るSD01の最も熱くなる部分ををサンダーで切り開きノギスで肉厚測定して摩耗を確認しました。
結果、全く劣化していないとは言えませんが摩耗は1mm以下に収まっていました。
個人的な考察では、熱と衝突する部分は劣化が激しいけれど熱が流れる部分は摩耗が少なかったです。
まとめ
薪ストーブは部品に鉄を使っているので摩耗及び劣化を避ける事が出来ません。
そしてお客様が導入をお考えする時に、故障や不具合がどの様に発生するのか実情を事前に知りたいと思う気持ちはよく分かります。
なので、僕の対応としてはお客様の不安を少しでも軽く出来る様、脚色なしでありのままお伝えして、後はお客様に判断して頂ければと考えます。
勿論、不具合発生レポートだけで終わるはずもなく、タイムラグが発生するかも知れませんが何らかの対応策とセットでの発表を心掛けておりますのでご安心くださいませ。