SD01のレストア

今月は少し時間に余裕があるので、2024年12月に7年使用してヒートライザーに穴が開いたお客様から引き上げてきたSD01の分解とレストアを行う事に決定。
本当は注文頂いているICを作る予定だったのだけど、鋼材商社さんが繁忙で材料納期が3週間ほど必要との回答が有り入荷までの時間を利用して、出来る所まで修理改善を進めたいと思った次第です。
もう10年くらい薪ストーブを作っていますが、ストーブ本体の劣化の違いと言う物がユーザー様によって大きくばらついていると強く感じます。そして雪国でも全くキレイな状態を保っている方もいらっしゃれば、温暖地と言われる場所でも本体の劣化が進行されている方がいらっしゃいます。
では何が原因でその様な結果になるのかと申しますと、個人的な見解と断ったうえで大きな要因は家の気密断熱性能だと考えてます。
薪ストーブと言えども有る程度の閾値での運用を考えて設計しており、一般的な価格で入手できる製品であればどの様な材料でも顕微鏡レベルで確認すれば少しづつ熱により表面が崩落しています。
そして、火力がつよければ強い程材料が劣化する速度も速くなるので、ストーブの寿命は設置する場所の環境によって左右されます。
極端な例を例えるならば、新築の高断熱住宅で過燃焼の運用を行うと暖房が効きすぎて不快になるので、小さな暖房でも十分満足できるしストーブの劣化も驚くほど少ない。
逆に倉庫の様な場所に設置すると、常にフルスロットル状態なのである時を境に一気に摩耗が進行します。

そしてSD01の初号機を分解して、劣化が進んでいる場所と大丈夫な場所を慎重に確認。
納品後長期間運用して壊れた製品は貴重な資料であり、劣化の対策を行う事で更なる長寿命を実現するだけでなく、問題の無い部分は使用環境に対応していると言う事なので今後も安心して運用を継続できます。
この後ヒートライザーを全て撤去して、新しい素材の実験をする為に採寸を行い鋼材を商社へ発注しました。
現在でもヒートライザーの摩耗対策に耐火レンガを使用しており、摩耗に関してはかなり自信を持って納品しているのだけど更に利便性を上げるために去年から気になっていた素材を手配しているので入荷したら取り付けて見ようと画策しているのです。
もうこの先は変質的な趣味の領域と言っても過言ではないけど、作れば作る程に気づく事が有りましていつになったら満足するのか自分でも分かりません。
ただ、燃焼機構の設計に関しては分厚い知見を蓄積できたのでネット上で知る事の出来る知識の真偽は即座に見抜く事が出来る様になりました。ロケットマスヒーターの英語版マニュアル本を改めて読み直すと、かなり心理を突いた記述が多い事に驚くと伴に今は何故その様な設計が合理的なのか自分の中で説明出来る事が成長の証なのかも。
そういった訳で、おそらく完成は4月になると思うけどレストア作業は順調にスタートしてます。