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初めてのボランティア

 
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西日本豪雨で、民家の裏山が崩落した現場へ初めてボランティアに行ってきました。

 

ボランティアと言うものになんとなく興味があったけれど、意味の無い勝手な妄想を現実と思い込み、日常の繁忙を言い訳に今まで一歩踏み出すことは有りませんでした。

 

そんな私が所属するランバージャックス(以下LJとする)のメンバーは大規模災害が起こる度迅速に被災地へ入って現地情報をSNSでシェアしてくれるので活躍を見る度一歩踏み出せない自分がもどかしかったです。

 

今回も何となく興味があって、行こうか行くまいかモジモジしている時に偶然、LJ代表のFB投稿を目にしたのです。

明日から広島県三原市に出発して被災地のボランティア活動をやってきます。作業内容はこの段階ではおそらく土砂の排出になりそうです。
 
 東日本大震災や熊本震災で、個人的な勢いではじめたボランティア活動で、たくさんの経験を積むことができました。
 
 被災地での活動がなければいま自分がここにこういう形で存在はしていませんし、じつはいまオープンデパート朝市をやっているのも、この被災地での活動が強く関係しているんですね。

FB投稿7/13日より抜粋

この文章を目にした瞬間、理由無く僕の心の中で「行こう!」とスイッチが入り、早速SNSに書き込んでみんなに1日遅れで参加する事を表明しました。

 

出発1日前の参加表明なので装備に不安があったけれど、ひとまとめに保管し放置してたキャンプ道具が役立ちました。

実際に参加した感想

まず結論楽しかった。

 

では、なぜ楽しかったのかと言うと奇跡が連続して起こるからです。楽しさの質は、腹を抱えて抱腹絶倒する面白さと全く異なります。

 

素人では絶対に手を出すことが出来ない障害が目の前に現れ、絶望的な状況を解決できる技能を持った唯一の人へ障害を認識する前に応援要請し、要請にプロが応えて片道5時間かけて現場に現れたり。

はるばる埼玉県から、お互い存在は知りつつもLJ社長と直接の面識はなかった「はすだ支援隊」のお二人がダンプとユンボを持って応援に駆けつけて下さったり。

限られた時間の中で、ゴールを設定し、誰も仕事を命令される事は一切ないのに、自分がいるべき最適なポジションへ自然に入り、メンバーの歯車が有機的にかみ合い、平時では目にすることが無い驚くべき速度で状況を好転させて行く。

 

個人の力では到底解決不可能な問題を、チームワークで奇跡を起こしながら解決してゆくのだからこれ以上面白い事を今まで経験したことは有りません。

 

ロックはライブだ!と聞きますが奇跡がライブで連発し、自分も一緒になってライブを運営していると感じると、安心安全の中、システムに寄りかかり生活して行く中で摩耗してしまった野性的な感覚って「こんな感じかなー」とおぼろげながらつかむことが出来ました。

 

どのような感覚かは、感じる人により変わってくるので、どうぞご自分で確かめてくださいとしか言いようが有りません。

 

ただ一つ言えるのは、行くなら状況が流動的な初期の方がいいとLJ社長が教えてくれました。

リスク管理の重要性

ボランティアに行く前提として、自分のリスク管理をしっかりできるという基本を疎かにすると2次災害を起こしてしまうので気持ちと装備の準備をしっかりと行う事は必須です。

給水管理

猛暑の中での作業で給水の重要性を痛感したので、帰宅すると同時にハイドレーションシステムを買いました。

クーラーボックスの周囲で作業するのなら問題ないけれど、山の斜面で作業をサポートするなど状況が流動的な場面では自分が欲しいタイミングで給水ポイントまで移動できない事も有るので、ドリンクを背負って行動するのは熱中症予防に必要な装備だと思った。

快適な睡眠環境

日中の激務で消耗した体力は唯一睡眠でしか回復させることが出来ません。今回の様なキャンプ泊で快適な睡眠環境を作る為には、マットやコットが重要です。

私はファミリー用の大きなマットしか手持ちがなかったので、ブルーシートを敷いたテントに寝ましたが、地面の凹凸に体が馴染まずぐっすり眠ることが出来ませんでした。

次回に備え帰宅してすぐ買いました。

 

自分の動きを考える

今回のミッションで最大の障壁は民家の裏山で崩れた斜面に残る巨木でした。

 

崩れた斜面に残る巨木が徐々に谷側へ傾き、崩れた斜面の崩落も継続していたので、土砂の撤去をする為の準備として巨木を切り倒さなくてはなりませんでした。

 

しかし、そんな崩れた斜面にそそり立つ巨木を切り倒せる特殊技能を持った人などそう簡単には居ない筈なのに、特殊伐採専門の上中林業さんがLJ社長の要請に答えてはるばる和歌山から応援に駆け付けてくれました。

 

そして幸運にも、巨木の幹を切り倒すクライマックスのサポートを経験させてもらったのですが非常に怖かったです。

 

ちなみに僕は今回のタスクは全くの未経験です。まず、足場が悪い。

 

崩れた山の斜面なので、足場が柔らかくて作業の間中ずっと足元が微妙に崩れて行くのです。

ビビって山側にしがみつくと体重が谷へ掛かって足元の崩落スピードが増すので、怖いけれど谷側荷重で場所を確保します。

足場が悪い中、巨木の上で上中さんが刻んでゆく木を、ロープで減速するのが僕の仕事でした。

木の先端をカットするので、幹の中ほどにセットした滑車を支点にし、木の下に設置した抵抗装置にロープを回して落下速度を調整します。

 

レクチャーは非常にあっさりしたもので、「上から垂らすロープを僕の指示回数まいてください」と「手が近いと巻き込まれるのでもう少し離してください」の2つだけでした。

 

親方は熱中症の中、精いっぱいの仕事をしてくれているので、今の僕が出来る事は親方の動きをしっかりと観察し、彼が欲する動作を想像して少しでも彼の負担を減らせないか必死で考えました。

 

僕が危険な行動をすれば、その分親方の思考リソースを奪ってしまうのでなるべく安全なポジションを取ろうと考えるんだけど、立ち位置を変えようと思えばロープの入った箱を手に持ち、崩れゆく斜面を両手離しで歩く必要が有るのですが、これが怖い。

 

もしかして、足を滑らして滑落すれば無傷では済まないし、危険な場所にとどまり200kgを超える木に直撃されれば骨折で済めば幸運な部類だ。

 

頭の中で想像する恐怖は呼吸を浅く、動きを固く、視野を狭くするけれどこんな時こそ深い呼吸でリラックスして、いつも以上にゆっくりとした動作を行うことで湧き上がってくる焦りを抑え込むことができた。 以前の僕なら浮き足立っている自分に気づく事すら出来なかったけれど、合気道に入門した恩恵だと思います。

 

消える事の無い恐怖の中、親方の動きを必死で想像し、自分のすべきことに集中してゆく中で、時間的な感覚が消失し、音も聞こえず無心の中作業が終了していました。

 

経験のストックが有ればこのように感じなかったのかもしれません。

 

しかし安全装置の無いリアルな恐怖感を感じながら親方の動きを邪魔しないよう無我夢中で作業した感想は

「面白い」

一歩間違えば大怪我間違いなしの状況で、焦る気持ちを感じながらも意識を集中するって本当に面白かったです。

まとめ

たった2日間しか広島にいなかったのに、ものすごく内容が濃い体験が出来ました。

 

その道のプロフェッショナルが有機的につながって起こす奇跡に参加できる場面はそう簡単に巡り合うことは出来ません。

 

ボランティアに参加して人のお手伝いをしていますが、お天道様が参加のご褒美にお金で得ることのできない貴重な体験を僕に与えてくれたと思っています。

 

今日で日常生活に戻って3日目だけど、未だ鮮明に記憶に残っています。

 

今回の場を自分一人で作る事なんて絶対不可能で、LJメンバーの諸先輩方、はすだ支援隊の小森様中山様とのチームワークで感じた物なので、今回のミッションに参加できて本当にラッキーでした。

 

今回でボランティアを経験したので、心理的ハードルも下がったから今後は出来る範囲で気軽に行動してみようと思います。

 

 

 

 

 

 

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