ヒミエルストーブ

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シングル煙突で運用すると違和感を感じる点

 
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昨日の記事ではシングル煙突で運用した時に認識するデメリットを述べました。今日は燃焼中に感じる違和感と、煙突にオーブンや湯沸かし機能を追加した場合の意見を述べたいと思います。

燃焼中の不具合

他社の製品の事は余り言いたくないので、ウチのストーブの事でお話させて頂きますと2重煙突でしっかり施工すれば熾火も真っ赤に燃えて燃焼室には灰が残ります。 そして加熱された灰の上に薪を追加する事により灰が押し固められてガラス化するので灰を取り出すサイクルも少なくなります。

しかし、シングル煙突で運用してみると、真っ赤に燃えて高温を放っていた熾火に勢いがなくなり燃焼室に炭が残ります。熾火が消えちゃうと暖かさも減るし追加の薪へ点火するのに苦労するので非常に勿体ないと感じます。

 

 原因はドラフト不足による酸欠かと推測します。裏を返せばドラフトに頼らないロストルを作って炭火に空気が当たる様にすれば良いし、昔その様なロストルを作って実験も行いました。 

しかし、その部品で得られる燃焼は私が欲しいと思う状態では無かったのでそれ以上深堀する事は有りませんでした。

薪を投入すると木材が加熱されてガスを放出し、ガスが酸素と結合する事により燃焼します。そして木質ガスの量が減少する頃に発生する熱量もピークを越え、煙突内部の平均気温も徐々に低下して行きます。 断熱2重煙突を施工していればドラフトの低下が少ないので熾火が真っ赤に燃える状態を維持出来るのですが、シングルだと上昇気流が低減するので熾火の炎が消えてしまう傾向が強いです。

 

9年前自作のクリーンバーンをシングル煙突で運用を行い、とても寒い日にいくら薪を追加しても燃焼のピークを越えてしまうと炉内に火の消えた炭が沢山積みあがる事に苦慮していたのだけど今になって振り返ると原因が良く分かります。当時はそのような当たり前の理由すらも分からずに何とか構造で切り抜ける事が出来ないかと頑張っていましたが、そんな事が出来るのであれば世界中のメーカーが先に販売しているハズなのでお恥ずかしい限りです。

ただ、上記の状況でもロストルを改造する事で若干燃焼状態を改良する事が出来たのは良い経験でした。

 

あと、薪を割りばし程度に細く割って運用する手法も有るのですが如何せん面倒な事が私は大嫌いなので、薪割にそこまでの労力を費やす選択肢は有りません。

また、多くの人は見落としているかも知れませんが暖かさと言うのは樹種によっても大きくばらつきが発生するけれど炎の大きさ=暖かさと考えて下さい。

そして、発生した熱量×暖房に使う変換率=暖かさになるので、ストーブの燃焼効率だけで性能が決まるのでは有りません。

上記式に当てはめて、大きな燃焼室を持つストーブに大量の薪を入れたら暖かくなると言う考えも有りなのですがそうなると燃費が激悪になりまるでクラッシックフォードにビックブロックエンジンを積んで連続運転をする様な感じになります。

また、薪ストーブはある程度燃焼室の温度が上昇する事により木質ガスがしっかりと燃焼するので大型ストーブは本体が暖まるまで時間が掛かるし、燃費良く使用したいと思ってとろ火で運用したいと思っても、ひとまず本体をしっかり昇温しなければ理想的な運転が困難です。

 

なんでも設計時に想定されたレンジの幅が有って、大型と軽トラでは用途や速度領域が違う様にストーブにも出力のレンジが有って自分の欲しい状態が分からないと後で後悔するかもしれません。

煙突を冷やすデメリット

煙突に熱交換ジャケットや、湯沸かしユニット、オーブンなんかを追加して熱を有効利用するアプローチって世界中に沢山ありますよね。

しかし煙突に熱を吸収するデバイスを入れると恐ろしく排気の熱量を奪われるので燃焼中に見たような不満点を検出する事が多いです。特にドラフトが弱くなるので木質ガスが燃える燃焼温度を維持出来る幅が狭くなり煤が大量発生する傾向が多いです。

勿論、しっかりと燃焼温度を上げる事の出来る製品も有るので世の中すべての製品を全て否定している訳では無いですが、煙突も含めた燃焼機器のバランスをあえて壊すようなアプローチが普遍的に受け入れられることに疑問を感じずにはいれません。

そしてこのような考え方の延長で燃焼室の横にオーブンが備わった機種もとろ火が非常に苦手です。なぜかと言えばもう詳細を語るまでも無く排気温度が低下するからですよね。勿論本体出口の排気温度がドラフト発生領域まで確保されていれば問題無いのですが一体温度が何度位なら問題無いのか? 

私の場合煙突出口の場所、取り出し高さを何度も変更して温度を測定する事で最適な場所を設定しました。一見なんの意味もなさそうな事にすらちゃんと根拠が有るのです。

 

まとめ

2日間に渡り自分の考えをつらつらと述べましたが、最後に私が理想とする燃焼状態を述べると

燃焼温度をしっかりとキープして本体を昇温させ、排気ダンパーを絞って燃焼ガスの流れを遅くして高温を維持しつつ薪の燃焼を遅くする。

文字にすればたったこれだけの話なのだけど、言葉で私が感じた事を正確に伝える事ができません。

しかし、寒い時に仕事に没頭して薪の追加を忘れていても緩やかに燃焼を継続するヒミエルストーブを見ると自己満足ですが嬉しさを感じます。

 

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