ヒートライザーの摩耗と寿命延長についてのお知らせ
ヒミエルストーブをご愛用のお客様へ、もう少しで薪ストーブシーズンが始まる前に現時点で私が把握している情報の共有と対策をお伝えさせていただきます。
まず前提として、今回の記事は現時点で最良と見込む判断です。ですので、見込みが外れることも有りますので絶対的な正解とは断言できません。
今回の記事はヒミエルのエンジンに当たるヒートライザーの摩耗進行と対策について述べています。
煙突掃除の時、並行してヒートライザーの摩耗を確認して頂くことで末永い運用が可能と考えてます。
また、同じ期間使用されていらっしゃるお客様を比較して分かった事は、圧倒的多くの全く問題ない方と少数の激しく摩耗している方が両極端に分布していると言う事です。全く問題無い方におかれましては、このような事案が発生したという事の周知、摩耗が進行しているとお考えの方は対策のご提案となってます。
ヒートライザーの摩耗問題
今から6年前、2018年にヒミエルストーブをお買い上げいただいたお客様のヒートライザーに穴が開いたと連絡を頂きました。 写真は連絡を頂いたお客様のところで2年前に撮影した物です。
写真を撮影する年までは炎が直接筒へ接触する事を防ぐ内筒を設置していたのですが、摩耗したので取り外した運用を行ないこのような結果になってしまったのは非常に悔やまれます。
熱風による金属の摩耗は本当に強烈だと改めて実感しました。
初期の頃はステンレスの筒の周囲に耐火モルタルを充填していたので機能には問題ありませんが、シーズンオフに今後の対応を相談する事でご納得頂いております。
摩耗の発生場所
摩耗の発生場所は決まっており、燃焼室の温風が衝突するヒートライザーの奥側。
ここを中心に摩耗が進行してゆきます。
初期の頃は木質ガスの燃焼に意識が向いていたので熱による摩耗は素材で対応できると考えていました。
(摩耗の原因)
単に高温でも緩やかにステンレスのサビが進行するのですが、最も大きな理由は勢いよく高温の熱風が金属に接触することにより摩耗が進むと考えます。 例えば、壁面を高音が上昇するだけのヒートライザー内部の摩耗は少なく、サイクロンの摩耗が進行するのは熱風が金属に衝突しているからです。
サイクロンの摩耗
初期の頃はサイクロンに3本足を取り付け、ヒートライザーの中に浮かす構造を採用していましたがサイクロンの摩耗が進むと足が脱落するので四角い脚を採用
このような形でヒートライザーの中に装着していました。
この形を採用する事で、完ぺきではないけど熱風の多くを交換可能な部品の中に通過させる事となったので本体の保護に繋がったと考えます。
しかし、サイクロンを採用すると絶妙な形状が希望以上に高温を発生させると考え運用を停止。
摩耗対策その1
サイクロンの運用を停止します
サイクロンの運用を停止する代わりに、耐火レンガを四角いステンレスの上に乗せて排気抵抗とする運用に変更。
メリットとして、サイクロンだと材料仕入れ価格が1本2万円を超えていたのに、耐火レンガだと千円位で購入出来る。
また、今年になって気付いたのだが最も高温になるヒートライザーの奥側へ耐火レンガを置いている事で熱風の多くを四角い脚の内部へ通過させる形になっているので本体保護に役立っていると考えます。
この形状での運用は、摩耗が進む場所を脚と耐火煉瓦で保護しているので現時点で考えるベターな運用だと考えています。
当初は高額なサイクロンの代替方法として考案しましたが、偶然にも本体保護に寄与している事に気付きました。
摩耗対策その2
耐火レンガ3枚をヒートライザーへ敷き込み、温風の接触および昇温を防止します。
2024年11月にヒートライザーの摩耗を知ってから過去にお買い上げいただきましたお客様へより積極的な摩耗対策をご提案できないかと考え、写真の様な形状を考案しました。
耐火煉瓦でこの字型に枠を組み付け、ヒートライザーへ設置します。
このような形で燃焼室の奥に耐火煉瓦が見える形になります。 現時点の実験では、耐火レンガは写真に写る3枚だけが最も調子よく燃焼します。
写真のレンガの上に2枚のレンガを追加したり、この字型の構造を2段重ねにすると排気抵抗が大きく焚き付けが上手に点火せず煙の逆流が発生しました。
ご提案事項
熱風が直接ステンレスのヒートライザーへ接触し高温と風が組み合わさると摩耗が加速します。
ですので、私の考えとしては
1)ステンレスの四角い架台の上に2枚の耐火レンガを敷く
2)耐火レンガ3枚をコの字型に1段配置
上記いずれかの対策を実施して熱による摩耗の遅延対策を実施する事をお勧めします。
1)の場合脚の価格が7000円と耐火レンガ1000円+送料+消費税
2)の場合3枚セットで1500円+送料+消費税 (ご自身で加工できる方はどうぞお試しください)
耐火煉瓦を単品でお探しの方は楽天かAmazonで「耐火レンガ半丁」と検索して頂ければヒットします。
個人的な考えでは、四角いステンレスの脚をお持ちの方は2枚の耐火レンガを乗せて運用。
サイクロンで運用の方は3枚の耐火レンガをコの字に並べて運用するのが良いかと思いました。
とにかく、ヒートライザーの昇温を防止する事を主眼にしてます。
6シーズン経過して得た摩耗に関する知見。
初期のお客様でも全く劣化していない方もいらっしゃれば、僅か1シーズンでサイクロンがボロボロになったりヒートライザー内部が歪んだり遮熱板が反り返ったりするお客様がいらっしゃいます。
違いは運用している火力が全く異なります。
金属製品の内部で炎を焚くと少しづつ劣化が進みますが、ある一定の閾値を超えると加速度的に摩耗が進行します。
ではどこが閾値かと言えば数値では表現が困難だけど、サイクロンが2シーズン程度でボロボロに摩耗したり、短期間の間に天板の色が白抜けて高温錆が多発、燃焼室の遮熱板が短い期間の間に反り返ったり摩耗が大きかったり、ヒートライザー内部が膨らんで変形などを確認できれば大火力での運用が推定されます。
薪の風呂釜も、火加減で寿命が大きく変わるようにストーブの火力調節も様子を見ながら運用して頂けますと長期にわたりご愛用して頂けると考えてます。
当初はヒートライザーの破損をお客様よりご連絡頂き、えらいこっちゃと焦り急いでブログを書いてお客様へ周知したのですが殆どの方は問題が有りませんとご返信頂き一安心です。