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給気口の造作に悩む

 
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蓄熱ストーブ納品に使用した道工具を棚へ戻し、注文する備品を手配した後は新作制作の続きに着手。納品期間中に季節は梅雨から真夏へ進み、屋根の下と言えども工場の気温は35度。

去年まではどんなに蒸し暑くても気合いで我慢してましたが、最近は無理を続けると疲労が抜けなくなり仕事に向き合う意欲すら減退してしまうので、朝早めに出勤して夕方は1時間ほど早めに終業するようにしました。

私の身体的な特性として高温に非常に弱く、合気道のお稽古でも毎年軽い熱中症になってしまうので先生からいつもお気遣い頂いてしまいます。

そういった訳でサウナも苦手で、サウナストーブの構築は非常に得意だけど熱い空間に長時間留まる事が出来ません。

給気口のフランジ問題

今回作る新作は給気口を、全閉した時に本体と面一にバタフライが収納される形状に仕上げたいと思ってました。

理由は色々あって、空気を遮断するには面で受けた方が有利、吸気スペースに割り当てることの出来る場所が狭いのでスライド方式だと十分な面積が確保できない等有るんだけど一番大きな理由はこの形を試してみたかったのです。

そして本体制作の大部分が終了し給気口の部品を組み立て仮組すると大きな問題を検出。

それは「しっかりと閉まらない問題」

まさに写真がその状況なんだけど、シャフトが貫通する支点が開閉弁から離れておりなおかつ吊り下げ式だから重さが釣り合う場所でバランスします。

そんなことは事前に認識しており、制動のバネレートを高めれば全閉位置の保持は可能かな?と言う目論見で設計したのが間違いで強力なバネで開閉弁を閉じた位置を保持しようとしても僅かな隙間が発生してピッタリと空気を遮断する事ができません。

この形に組み上げたのが丁度夕方で、対策を考えようと思ったんだけど、日中の猛暑で集中力が保てないから翌日に何か改善を試してみると決め終業。

翌朝はいつも通り早めの時間に工場へ行き、開閉弁を暫く眺めているとアイデアが閃きました。

コンセプトは非常に簡単で、支点の上下を入れ替えると通常運転で使用する範囲に於いて、開閉弁は支点から閉じる方向へ倒れて行くのでうまくいくかも知れないと言うものです。

試しに実験してみると最初にイメージしていた動きをするじゃありませんか。

正解はこの形状だったんですね。

分かってしまえば何てことない形状だけど、実は形に意味が有り経験が無ければこんな簡単な問題すら解決に半日を費やしてしまいます。

新開発に於いては簡単な形状に仕上げようとする目標が有るからこそ悩む場面が幾多もありました。

一つの機構を作るにも制約が何個か有って、見た目や工作の容易性を考慮に入れて幾つかアイデアが浮かんで来るんだけど結局は簡単なモックを作って判断します。

以前とは考え方が変わってきて、新分野の開発には探索が必須でありそこには失敗が内包されていることを予め理解したうえで行動する事が開発速度を上げる一番の近道だし、それは製品の開発だけでなく商売の方法にも当てはまると思うようになりました。

そういった訳で、何らかの行動を起こし、そこから得られた現状を見て次の行動を起こすって簡単な話に収束するのだけど理解するまでに多くの回り道をしました。

しかし、そこで得た経験値こそが私の財産。

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