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ピザ窯にも応用可能、レンガを積み上げる目地についての大切な話

 
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昨日は備前焼で有名な岡山県備前市にある三石耐火レンガへ注文していたレンガの引き取りに行ってきました。

偶然にも現在進行形で京都の美山へ蓄熱式のサウナストーブを一緒に建設している建築士さんも耐火煉瓦について、レンガメーカーへ赴き素材についての配慮すべきポイントや特注部品の発注が可能かなどの打ち合わせを予定していたので、私も打ち合わせに参加させていただきました。

社屋は川沿いに佇み歴史を感じる木造。

その一室で営業部長さんが対応して下さいました。

ネット上の情報は嘘でも無いが本当でもない

まず最初に前提条件として、耐火レンガのメーカーが常時対応している温度帯は1000度以上が多く薪ストーブやピザ窯で使用する温度帯とは基本的なアプローチが異なっていました。

はっきり言って、低い温度なら赤煉瓦でも十分対応可能じゃ無いのでしょうか?と言うご意見も頂きました。

そしてそのような高温環境下で長期間使用可能な素材を製造することに注力しており、薪を燃焼して得られる装置に関しては知識が少なく、私が質問を行なっても溶鉱炉やるつぼの様な熱を溜め込んで製品を加工する状況を想起されている回答が多かったです。

ですので教えていただいた内容はピザ窯などとは狙っている物が異なり、超高温の使用に耐えうるアプローチだと前置きした上でお話しすると、ピザ窯などの目地にアサヒキャスターなどを使用すると目地割れの原因になるそうです。

ネット上では、窯を作るのであればアサヒキャスター等が最もポピュラーだと思っているけど厚目地で高温の連続運用では割れてしまう恐れが大きいそうです。

キャスターは元々、不定形耐火材と言ってレンガなどで構築する事が難しいパーツを型に流し込んで製造する物であり目地材ではありません。 耐火煉瓦を積みあげる時の目地厚さは2〜3mmの薄目地で積み上げるけどキャスタブルを使うと目地が厚くなってしまいます。

ではどうするかと言えば、専用の耐火モルタルを使います。

モルタルと言う名称なのでホームセンターで販売しているセメントと混同してしまうけど、成分は全く異なっており粒子の細かい泥の粉末と考えてもらうと分かりやすい。

そして耐火煉瓦の素材も粘土なので、陶芸に例えると粘土で作ったパーツを泥で繋ぎ合わせるように粘土質のモルタルを熱で焼結することで耐火煉瓦と一体化します。言い換えれば目地を高温で焼かなければいつまで経っても固まりません。

この辺りの知識をしっかりと説明しているネット記事が少ないので混同される方が私も含めて多数いらっしゃるのでは無いでしょうか。

では焼結温度が低い場所で目地を固めたい場合はどうするのか?

そういった場所には常温で硬化するアルミナセメントを利用、キャスタブルもアルミナ系素材です。

営業の人のお勧めは、アルミナセメントと通常のモルタルを1:0.9で混合して使用。

アルミナセメントはデンカと言うメーカーのアルミナセメント1号をご紹介頂きました。

そんな材料を集めて混合する事が面倒とお考えであれば、あらかじめ半練り状態でペール缶に入っている、日本るつぼのスーパー3000がお勧め。接着力も強くて目地割れの起こりにくい材料です。

他には東興ジオテックのP150なんかも僕の周りではポピュラーかな

築炉と左官は別ジャンル

レンガを積み上げて熱処理炉を積み上げる事は一見左官屋さんと同じ作業に見えるけど、築炉は熱によるレンガの膨張や経年劣化を考慮して組み上げるので内容は全く異なります。

熱に関する対応の知識がある左官屋さんであれば問題ありませんが、住宅だけしか知らなければレンガを積み上げる事に関してはプロフェッショナルであっても薪を使った暖房装置に関しては素人も同然であり使用温度が高くなるに従い違いが顕著にでるでしょう。

なので、施主側がしっかりと違いをわかった上で依頼しなければ望んだものと異なる結果になってしまう恐れがあると今回勉強になりました。

薪ストーブに関して言えば、熱に関する基本的な物理法則は同一だけどスチールのストーブとレンガのストーブは製造方法や運用が異なり全く異なるジャンルと言っても良いし、両方の知識を学ぶと言うことはとても面白い。

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