2018年 私はストーブだIN韓国 その3
韓国滞在3日目の朝を迎えました。 今日から2日間「私はストーブだ」が開催されます。 沢山の人が訪れ、活気有るイベントになりそうなので楽しみです。
まずはいつも通り会場まで徒歩で向かい、会場のテントで朝食です。 運営が手配してくれた食堂の人がスタッフや出店向けに食事を作って下さるので、給食形式で頂きます。
土曜日の朝食はこれでした。かなりのボリュームで朝から満腹です。
会場風景
ロケットマスヒーター
昨日はレンガを積み上げた状態だったロケットマスヒーターが、しっかりと完成していました。 本当に作るの早いですね。
昨日の写真
1日後の写真
本体右側の空間で暖気を2分割して煙突から放出します。内部は仕切り等無く、掃除点検口から撮影すると単なる空間でした。
個人的な好みの問題なのですが、今回の韓国旅行で僕はロケットマスヒーター及びオンドル等の蓄熱式薪ストーブが好になりました。 暖まるまでに時間は掛かりますが、一旦躯体に熱をため込むと1日中緩やかに放熱して、減った分の熱を薪で足して行くアプローチはまるでバッテリーに電気を充電するが如く合理的だし、なにより緩やかな輻射熱が本当に心地良いです。
朝早くの会場で一番最初に目に付いたのがモバイルオンドルの出展ブースでした。
オンドルを家に取り付けるって、大がかりな工事が必要になるんですが簡単なパンチングスレートをつなぎ合わせて床を暖房します。
フレーム内部に煙道がセットされて非常にコンパクトでおまけに床がじんわりと暖かいので優れた発明だと思いました。 ちなみに韓国だけじゃ無く日本でも特許取得しているのも素晴らしい。
日本での生活を講演
朝早い時間はお客さんの数もまばらで、比較的ゆっくりと会場に展示されているストーブを見て回ることが出来ました。
そして、午前中は会場に設営されていたティピーの中で日本チームの選抜が日常生活についてプレゼンを行っていてので、ストーブの見学は後回しにしてプレゼンを聞く事にしました。
まず最初に、古式大工技法の徹くんが営む生活を聞きましたが、現代に於いて数年間非電化生活経験の有る人がいるのかと驚きました。 会話のテンポは軽快ですが、話す内容は誰もが真似出来ないこだわりの生活を営んでいるのでこれは日本の生活と言うよりも、徹君のライフスタイルの発表ですね。
次は、我々のリーダーであるロケットストーブ普及協会の代表石岡さんのプレゼンです。日本での薪ストーブイベントの開催など発表しました。
そして、プレゼンが2本終わり休憩しましょうかねぇ~と言う運営の提案を、5分で良いから説明時間を下さいとお願いし雑誌ドゥーパ編集の豊田さんが雑誌を開き日本のDIY事情を説明をしました。
3人の発表が終わりティピーを出るとイベント会場にいるお客さんが多くなっており、イベント本番と言う感じでしょうか。会場ではお肉が良い具合に焼けて凄く美味しそうだったり、ロケットマスヒーターに火を点火て乾燥をスタートしたりしていました。
ストーブコンテスト
初日の夕方に出品されている薪ストーブの順位を発表が有り、審査を日本人チームへ依頼されたので石岡さんを初めとする3人は午後からストーブの審査を行います。
大会運営の方が話してくれたのは、プロの方達にとってはコンテスト優勝のネームバリューはとても大きく、コンテストの評価尺度も相対的なので順位付けに対して抗議が有ったりと面倒な一面が有るそうです。
そんな訳で、外国人の我々のジャッジならば文句があっても問題無いし、現地のしがらみなど全く無視したフラットな評価が出来るので良いことばかりだそうです。
僕が感じた薪ストーブの感想
<2極化>
僕がネットで初めて見た2013年の写真は、ガスボンベをつなぎ合わせて自作のストーブを自慢し合って技術向上を目指しているイベントに見えました。
ところがイベント回数を重ねるごとに技術交流が進んだ結果、プロの技術が2次関数的に飛躍して当初の誰もが作れる自作エネルギーと言う理念と、プロの成果物展示と言う2ラインの製品が混在して展示されていました。
運営側も当初の理念回帰を狙ってなるべく素人の出展を増やしたそうですが、僕の個人的感想では昔のスタイルで楽しんでいるのは飲食店の出店者の方が多いと感じました。
僕もプロなので、良いと思う構造は一目見ればスグに真似出来ます。
そして私の記憶している範囲ですが、プロレベルの人達が良い所を開示して皆で追い求めて行った結果、外観は異なれど燃焼システムは似た物が多かった。要は似たり寄ったりで印象に残らないと言う事ですね。
そういった理由で、今回ストーブを何台も見る機会があったけれど僕が一番印象に残っているのはロケットマスヒーターです。
その点、素人の製品は固定概念が少ないか自由な発想で楽しそうに感じました。
審査の前に、会場のテントでお昼を頂きました。辛子味噌と具材の味が美味しく、野菜が一杯で満腹です。
審査風景
審査は、出店者を1つ1つ回りインタビューを交えながら評価して行きます。 写真はしっかり評価尺度について質問している光景です
先ずはプロっぽい人達の紹介です。
右手のストーブはダウンドラフトバーニングストーブで、下向きに炎が噴射して燃焼します。
基本構造はポケットロケットと同じで、最初燃焼室上のダンパーを開けて煙突に暖気を送りこみ、本体が暖まるとダンパーを閉じて下向きに炎を流して行きます。
日本で販売されている物では、ピキャンのオーブン付き薪ストーブが構造的に近いかな。
小さい薪ストーブだけど、エアカーテンの取り方が下方向からの噴出で窓のくもりが全然無かったストーブ。
今回見た中で一番お洒落な薪ストーブ。 カラーリングや製品のクオリティーはまさしくプロの製品でしょうか。 今回出展していたプロの方は4.5mm位の鋼板をプレスで折り曲げて外装を作り、積極的に溶接工法を採用している人は少ない様に感じました。
そしてノスタルジーな感じのストーブを紹介します。
このおっちゃんが一番クラッシックスタイルを残していた方です。
既成概念なんか無視した、ある意味パンク的な構造物だけどしっかり調理にも使えるし、燃焼室からの熱の回り方を工夫したりしていました。
何より、物作りを楽しんでいる様に感じたのでその姿勢は僕も見習いたいです。
あとは高校生の少年が作った胴体がすぼまった形のストーブ。
初めて作った薪ストーブだそうですが、しっかりと燃焼していたし、脚の部分を折り曲げて収納できる様配慮したりする所が素敵。
日本のyoutoubeを見て作って見たという箱形ロケットストーブ。 すべて備品が箱の中に収納できるのでモバイル製が優れていますね。
日本では同じコンセプトの製品が販売されておりますが、ネタ元はアメリカのyoutubeにアップされているroket massheater ideas だそうです。
5年前の写真でよく見たデザイン
クラッシクスタイルでしょうか
一口に薪ストーブと言う括りのイベントでも、素人やプロそして飲食店など立場によってアプローチが全然違うのが面白い。
飲食点では、簡素だけど調理器具の一つとしてロケットストーブが活躍しているのがほほえましかったり
鉄板の真ん中に煙突を差し込んで、炎がレンガの周囲を回り込んで煙突へ抜けて行く素敵なバーベキューシステムを採用したBBQ屋さん。
お肉を買って、自分で焼いて食べるスタイルでした。
夕方のイベント
日も西に傾いて来た頃、大会メインイベントステージではくじ引き大会が始まりました。
理事長のテンポ良いかけ声で当選番号が次々に呼ばれて行きます。 結構良い商品が当たるので、番号を呼ばれた人はすっげー感激してステージへ駆け寄り、感情表現が豊かなのが羨ましい。
そして、ストーブコンテストの発表です。
今回は適正技術的な視点(エネルギーの自給自足)でのジャッジだったので、素人が楽しんで作った物が選ばれました。そして、入賞者との記念撮影。
まとめ
イベント初日はプログラムが盛りだくさんであっという間に夜を迎えました。
午前中、薪ストーブの構造を理解しようと一生懸命製作者に話を聞いていたのですが、大会の受付で出品者の作品パンフレットが構造も記載されて200円位で売っていたので買って読んでおおよそ理解出来ました。
ストーブのプロ目線で感じたのは、プロの作品はどれも綺麗だけど印象に残りにくい。 だって、みんな綺麗だもの。
構造的には煙突内部の高温が浮力を生み出す通常型薪ストーブが多く、日本で一般的に販売されているストーブとアプローチは同一でしょうか。 ただ、2重煙突を使う文化は会場を見る限り無さそうだったのでシングル煙突をメインで運用している人が多いのでしょう。
イベントが終わって我々一行は早めに宿へ帰って寝るグループと、イベント会場で宴会を楽しむグループに分かれ僕は眠かったので早々に宿へ歩いて帰ったのでした。
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