作り直せる目地を求めて
レンガも購入した事だし、後は積み上げるだけとは話が進みません。しばらくの間は作って→やり直すを何度かやってみたいので修正の効く目地を探しておりました。
目地を知らない人に説明すると、レンガの間に乗っけるモルタルや粘土の事で普通にアサヒキャスターなどを使ってしまうと接着剤が配合されており、一旦硬化したら分解が困難になってしまうので何を使えば良いのか五里霧中だから、とりあえず左官屋さんを営むお客さんに聞いてみると「土を掘って粘土を採取して、砂を適当に混ぜると良いよ」と簡単そうだけど一番難しいアドバイスを頂戴しました。
情報の受け手である僕に適当の肌感覚を生み出せるだけの経験値が無いのでアドバイスの内容を想像すらできないのが残念無念。
うーむ、まずどこで粘土を入手するのかすら分からないので、次に陶芸を営んでいるお客様へ電話で問い合わせた所、陶芸窯の築炉や保修に「童仙房」と言う名前の目地材を京都の陶芸用品店から購入しているという有力な情報をゲットしました。
京都のお店に電話するのも有りなのだけど、僕の工場から距離の近い備前地区の陶芸ショップへ電話して目地に使う粘土を聞いてみる事にしました。
すると、お店の方は丁寧に教えてくれて
先ず粘土は単体では収縮量が多いので目地材には不向きです。収縮を抑えるために砂や珪砂などをブレンドして収縮を抑えなきゃ使えません。
目地に使うモルタルには2種類あって、接着剤が入っている物と、取り壊す事が前提の陶芸窯の入口などに使用する耐火モルタルが有って僕の使用目的には後者が最適だそうです。
お値段も安くて25㎏2000円程度。
ここで話をまとめると
粘土を使うのであれば、どこかで入手した後に珪砂などを添加して粘土目地を作る
耐火モルタルを購入して実験してみる。
欲張りな僕は2つとも試して違いを見る事に決定。
友人に相談すると、薪置き場に管理している田んぼの底を掘れば粘土が取れるそうなので、年末に一人穴掘りに挑戦。
表面は草が生い茂り、根っこが邪魔だったけど30㎝も掘れば粘土の地層にヒットでした。
拍子抜けするくらい簡単に粘土を入手できたことにビックリです。
今までの人生の中で粘土を採取する目的で土を掘った事なんて無いので新鮮な体験でした。
とりあえず左官舟1杯分の粘土を集めて作業は終了。 次に来るときは土嚢袋を持ってきた方が作業性が良いかな。
実験を行うには十分な量の粘土だけど1つだけ懸念事項が有りました。それは「沢山の草が混じる」と言う事です。僕は目地を廃棄する事を想定して素材を探しているんだけど粘土に草が混じると、粘土は土だけど草や藁は産廃なので処分場で受け入れてもらうには土と草の分離を要求される可能性が高い。
そして混合した土を引き取ってもらうには高額な費用が必要になるそうなので、田んぼなどを所有していなければ廃棄する場所に困るそうなのです。
うーむ。
粘土自体は使えそうだけど、地表に近い部分での採取なのでいくら注意を払っても草が混じってしまうから今回は堀った粘土は全て埋め戻して一旦退却を決意しました。
全く知識が無い状況で、情報を求めて前に進んで行く過程ってとても楽しいです。築炉に関しての経験値が0だからいつか手痛い失敗をするでしょうが、それも成功につながる通り道だし今の僕は分からない事をクリアして行く事に面白さを感じるので、歩みは遅くても休まずプロジェクトを前に進めて行きます。