吊り具の改善
2月は高知県でSD01の納品を予定してます。
ヒミエルストーブシリーズは2台分の鋼材をふんだんに使用しておりますので、仕上がり重量が300㎏近くあり搬入時に多種多様な道具を駆使し安全に配慮して炉台まで運んでいます。
そして数年前から改善したいと思い、いろいろな手段を試してみるのだけどクリティカルヒットを見つけることが出来ないタスクがありました。
それは台車からストーブを吊り下げる単管足場の使用を取りやめたいという事です。
炉台まではストーブを台車に乗せて、定位置まで搬入した後は単管足場でジャッキダウンするのですが良い面、悪い面を備えており
良い面は非常に強固で安定感が大きく安全。
悪い面はとにかく足場が重たく、炉台までの搬入が非常に手間。そしてポール単体では不安定なので3本を連結するまでは誰かに手を借りないと危険。
この工法を採用する前は非常に不安定な手法で搬送していたので、単管足場の利用で安全性を確保できた時は非常に嬉しかったと記憶してます。しかし多くの現場を経験するに従いデメリットの方を大きく感じる様になりました。
なんとか改善したいと思い、いろいろ試してみるんだけどシンプルな技法で安全性を確保できる方法を発見できずに現在に至ります。
そして2月に入り、去年の秋口から猛烈に忙しかったストーブ製造タスクがひと段落ついて心の余裕が芽生えたのでかねてから気になりつつも時間の制約から放置していた吊り具の改善に着手しました。
答えなんて実験してみないと分からないし、頭の中でアイデアを出す有効性を否定しないけどアイデア自体が過去の経験から導かれる答えなので未知の探索に役立つ部分は少ない。
こういう時は思いつくまま手を動かし、頭の中に浮かんだコンセプトを手軽に検証する事で良い筋のアイデアか悪い筋なのかを判断してゆきます。
写真の撮影はしていないけど、最初はストーブの脚元を寸切りでジャッキアップする方法を試していたけどいくら頑張ってもなんだか心に響かないので却下。
やっぱり何らかの架台から吊り下げる方が姿勢が安定するので私好みだと再確認。
そんな時、頭の中でホームセンターで購入した作業台ブラケットを使用するとどうなるのか?と言う考えが思い浮かんで来たのです。
コーナンで買った2*4用の金具は板厚が0.5mm程度でとても300㎏のストーブ荷重に耐えることなど出来ないだろうけど、進むべき方向性くらいは確認できるかと思い近所のホームセンターへ材木を買い出しに行って早速テスト。
実験の結果はかなりいい感じで使用できることが判明。
特に三角形の部分は荷重がかかる程強固に固定されるので全く問題有りません。 ストーブを吊り上げる横向けの木材が三角形の頂点に乗って床に荷重を伝えるので剛性を確保できるのでしょう。
横方向の揺れは、板を固定する事で対応できるのでホームセンターの支点金具を鉄板で作り直せば恐らく現場での使用に十分耐えると判断しました。
この写真ではチェーンブロックで吊り上げを行いましたが、チェーンブロックではチェーンが木に食い込んで木材を回転する力が掛かってしまうので寸切りボルトへ変更。
後は床面が滑って三角形の形が崩れないようにロックを作り揺れ止めの補強をしっかりと固定できれば完成すると判断。
出来上がってしまえば当たり前の様に感じる事も、作業に着手する前は全く思いつかなかったので手を動かしながら未知の手法を探索するって非常に有効な手法だと実感です。
自分でも気づいているのだけど、私は未知の事柄を探索する事が得意。
出来上がってしまえば「そんなの当たり前じゃないの」と思える事も、出来上がる前は全く分からないわけで有りそこには大きな壁が存在しております。
そして、分からない→思考終了では無く
分からない→それでも何か抜け道はないか?と考える姿勢がとても大切。
特に成功だけを短絡的に求めると疲弊するので、失敗こそ将来へのプレゼントだと思い前に進むことが大切だと考えてます。