ヒミエルストーブ

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外観が同じ様に見えても調整で性能が別物になるという話

 
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初号機は北軽井沢の川原薪ストーブ本舗様へ旅立ち、自社の展示品が無かったので早急に製作を進めていたKD01の2号機が遂に完成しました。

3月の軽井沢へ納品する前までは、初号機と全く同じ構造で製作し、後は扉を取り付ければ完成という所まで作り込んでいたんだけど、こうすれば良いんじゃないの?と貴重な助言を頂いたので完成間近だった本体を一部切り刻み新しいアプローチを盛り込みました。

具体的には、空気調整機構を無くし、遮熱板追加、全て2重煙突を接続出来る様に改造、オーブンの臭い抜き追加、吹きこぼれを受けるトレイ追加、オーブン温度計追加など簡単な物から構造を根本的に変えなきゃ駄目な物まで今回も本当に難しい課題が多かったです。

 

しかし、自分が簡単と感じる事以上の課題に取り組むことにこそ価値があるので、今回も頑張りました。

頑張ったのは自己満足で良いんですが、外観こそ初号機と同一だけど中身は結構改善したからテストを終えるまで安心出来ません。

 

2号機は昨日の夕方完成して、来週までテストを我慢する事が出来ず夜に掛けてじっくりと燃焼テストを行いました。

期待はずれの性能低下に言葉を失う

煙突を口元からオール2重化したので、改善の効果がどのように効いてくるのか凄く興味が有りました。

いつもの様に焚き付けをセットして、少量の灯油を垂らした後点火しました。

特に焚き付けの時の立ち上がりは特筆で、煙の逆流等一切無く強力に炎がヒートライザーへ吸い込まれて行きます。

点火して間髪置かずにゴーッと言う音と伴にドラフトが発生するのは2重煙突の効果がしっかりと出ている証拠かな。 シングルと比較すると全く別物です。

そして炎が順調に大きくなって行きます。

ヨシヨシ、その調子で順調に燃えていってくれよと願う僕の思いとは裏腹に、炎が大きくなった辺りから気になる点がいくつも見つかって来たのです(涙)

 

先ずは煙が全然止まらない。 本来なら、暖まると煙が消えて全く見えない筈がいつまで経っても煙が消えません。臭くは無いので酸素が少ない訳じゃ無いけどとにかく僅かだけど煙が消えないのが気に食わない。

それに、窓ガラスがうっすらと曇ってしまう。翌朝に撮影するとガラスの上半分にうっすらとススが付着していた。

キレイなガラス窓じゃ無いと嫌なのでこのレベルは不合格です。

そして、炭が残らずにゴーッと勢いよく燃えて灰になってしまう。

 

薪の状態や出口を操作しても状況は好転せず、朝からの作業で疲れ果てて頭が働かないので昨夜はテストの途中で帰宅し、改善は翌日に持ち越すことにしました。

頭から離れない無限ループの原因追及

こんな状況は何度も経験しているんだけど、毎回家に帰ってからノートを広げ思いつく限りの原因を書いて行く。

しかし全て想像でしか無いから、同じ考えが無限ループで頭の中を回って終わりが来ない。特に今回は初号機がベースなので失敗は予想外だったのでダメージも大きかった。

一体何をどのように改良すれば求める姿になるのか誰も教えてくれないから、初号機との違いをメインで改善して行くと決めて今日に臨みました。

 

改善作業

一番大切な燃焼改善は、排気を絞る構造を追加したのが予想以上にベンチュリー効果を生み出してしまい、空気の流れを絞っているつもりが逆に速度を上げてしまったと仮定して絞りを撤去しました。

そして、窓ガラスの曇りはエアーの吹き出し量が上下拮抗する様に調整した。

 

たったこの2点をい変えただけで昨夜とは全く別物みたいにキレイな燃焼を作る事ができた。 初号機の写真じゃ無いですよ!その証拠に正面に空気調整レバーがありません。 

点火して2時間経ってもこのくらいクリアーな窓が好きだ。

 

2重煙突の効果は凄くて、ダンパーを絞り気味にしても強力に燃焼を継続します。 巡航運転に入ると、本体出口で約150度だった。

昨夜の反省から、見た目だけじゃ無くて温度の変位を記録して、改善の効果を定量的に確認したいと思ったのでデータロガーをセットしました。

データロガーは見た目じゃ絶対に分からない燃焼温度を可視化できるので非常に便利だ。 今後は30cm離れた所にベニアを立てかけ擬似的な壁を想定して輻射熱の測定したり煙突に穴を空けて排気温度を測定したり1回の実験でより多くのデータを集めて今後の改善に活かしたいと思う。

 

まとめ

今回は少しの改善で不具合が治って本当に良かったです。

ブログにはヒミエルストーブの良いことばかり書いていますが、水面下では必死になって不具合を潰してます。

そして、自分の中で世間に発表しても大丈夫と感じる閾値を超えた製品だけブログに書くから良いことばかりに見えるけど、納得できる性能を作るまでには1年位ザラに掛かるので簡単に製品ラインナップを増やせません。

 

不具合が治って、昨夜の燃焼状態を振り返ると火力調節の無い、単に勢いよく燃やすだけのロケットストーブに近い燃焼だったと気が付きました。 

全く同じストーブでも絞り機構の有無や吸気口のサイズで燃焼特性が全く別物になると言う事を初めて知ったのが今回の大きな収穫だ。

僕は高校生の頃、「湾岸ミッドナイト」が好きだったんだけど、チューナーのセッティングでパワー特性が変わるように薪ストーブも特性が大きく変化するんですね。

 

そして、自分の中で多くの比較対象群を作る事が改善を思いつく財産になるのでこれからも沢山挑戦して行きたい。

 

いきなり素晴らしい性能なんて生み出す事なんて不可能で、とりあえず6割位の性能をザクッとつくり後はジリジリと積み木を積むが如く性能向上を目指すのがヒミエルスタイルだと改めて気付いた。

 

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